大学院生の王君が筆頭著者の研究が「Cell Reports」に発表されました。
2025.05.20 最近の研究活動
がんは、遺伝子に傷がつくことで始まると考えられていますが、最近の研究では、それだけでは不十分であることがわかってきました。
遺伝子の変化が「スイッチ」となり、他の遺伝子の働きを調節している染色体の構造(=エピゲノム)にまで影響を与えます。
この構造の変化が、もともと正常だった神経細胞の性質を変えてしまい、「がん化」へと導くのです。
つまり、がんは“遺伝子の傷”だけでなく、“遺伝子の使われ方”の異常も大きく関わっているのです。
私たちは今回、がんにおける遺伝子変異がエピゲノム制御機構に直接影響を与え、その結果として腫瘍形成が促進されるという新たな分子メカニズムを明らかにしました。
この発見は、遺伝子変異の影響が単なる発現変化にとどまらず、細胞内のクロマチン構造や転写制御全体に波及することを示しており、腫瘍の起源や進展過程を理解する上で重要な知見です。
本研究により、エピゲノムの異常ががんの発症において果たす本質的な役割が改めて浮き彫りとなり、新たな治療標的の可能性が広がります。
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