- HOME
- お知らせ
大学院生の王君と執筆した髄芽腫マウスモデル作製の方法論がNature Publishing GroupのeBook「Neuromethods」に掲載されました。
2025.10.05 最近の研究活動
我々が髄芽腫研究において利用している体細胞変異によるマウスモデル作出技術を共有したいと思い、Duke大学の友人Michael Goldsteinから依頼を受けて執筆しました。脳腫瘍研究に多くの分野の方が興味を持っていただけると嬉しいです。詳細はこちら
川内教授の研究提案が公益財団法人大幸財団の2025年度自然科学系学術研究助成に採択されました。
2025.09.09 新着情報
採択された研究費の内容をご紹介します。今回の研究提案は、腫瘍進展のメカニズムについて知見が限られている Grp4髄芽腫 を対象としています。私たちは、最近開発した N1-SRC誘導型の新しいがんモデル と 患者由来異種移植(PDX)モデル を駆使し、腫瘍細胞とニューロンの相互作用を解析することを目指しています。
Grp4髄芽腫は 神経系の遺伝子シグネチャー を示すことから、がんと神経細胞との関連が強いと考えられます。本研究を通じて、仮説に基づく新たな分子機構の発見につながることを期待しています。
大学院生の肖君が参画した稲垣先生(NAIST)との共同研究がAdvanced Science (IF:14.1)に掲載されました
2025.08.14 最近の研究活動
肖君は脳オルガノイドを用いてヒト膠芽腫細胞の細胞移動にSHTN1が寄与していることを証明しました。
脳オルガノイドの樹立はNCNP青木吉嗣部長の協力で行いました(Xiao et al. in preparation)。
この研究はYahoo JAPANなどのニュースでも取り上げられています。
大学院生の河田君が筆頭著者の総説がFrontiers in Oncologyに掲載されました。
2025.06.17 最近の研究活動
小児脳腫瘍とエピゲノム:がんの「設計図の読み方」の異常に迫る
小児脳腫瘍は、子どもの命に最も関わるがんの一つです。その多くは、脳の発達過程にある神経幹細胞や前駆細胞から生じると考えられています。
こうした脳の発達の過程では、本来であれば神経細胞が正しく分化し、それぞれの役割を担うように「設計図(ゲノム)」が読み込まれます。しかし、小児脳腫瘍では、この設計図の読み方そのもの――つまり「エピゲノム」の仕組みに異常が起きることで、細胞ががん化することが明らかになってきました。
成人のがんとは異なり、小児の脳腫瘍では遺伝子の変異が少ないことが多く、がん化に関わるエピゲノム異常がより重要な役割を果たしていると考えられています。具体的には、クロマチン構造を変える酵素(Chromatin remodeller)、ヒストン修飾酵素、DNAメチル化酵素、さらにはゲノムの大きな構造異常などが関与しています。
さらに、腫瘍の種類によって関与するエピゲノム因子は異なっており、それぞれの発生起源の違いが、腫瘍の性質や治療反応に大きく影響しています。
私たちのレビュー論文では、これらの知見をもとに、小児脳腫瘍がどのようにしてエピゲノム異常によって発生するのかを整理し、どのようなエピゲノム因子が治療の標的になりうるかについて最新の研究をまとめています。
論文はこちら